ソコがいいのよ〜

本来、道具というのはある目的のために作られていて、
それぞれ「専用」のものがあるわけですね。
専用の道具が必要な時にない場合は、
なにか別の用途のための道具を「流用」「代用」する知恵が働きます。

これは「なんとかならないかな」と
頭をひねった結果だったりするのが普通です。

ところが、意識外に「あれ、あ、おお〜!」と、
神のお導きのように、全く予想だにしなかったパズルが、
そこにピタッと合うかのように、
ある道具が、全然違う用途にびったりだと気が付くことって、
ありません? ね、ありません?

昨夜、というよりも明け方近く、
僕は仕事を終えて自宅に戻り、睡眠導入剤の焼酎のお湯割を飲んでいました。
いつも愛用しているのが、この陶器の器。



釉薬がかかっていない素地の部分まで焼酎を入れ、
たっぷりとお湯を注ぐと、ちょうどいい加減のお湯割が出来るのです。
えっと、これは経験から来る使い方の工夫ですね。

暖房の消えている寒い部屋に帰ると、
このお湯割の温かさがうれしくて、
思わず器を両手に包み込むようにしていました。
これも今日に限ったことではありません。

いつもと違っていたのは、爪。
最近毎日5分でも10分でもウクレレの練習をするようにしてるんですが、
ちっとも上達しないのは相変わらずとして、
たまたま、弦をかき鳴らす人さし指の爪の具合が、
その日どうもしっくり来ていなかったんです。
「つめ切りのヤスリで少し磨くかな…」
そう思いながら、僕は変な動作をしていました。

器を包んでいた右手の爪を、底の部分にこすりつけていたんです。
自分でも全く無意識に。

じょり、じょり、じょり、じょり、じょり

「!」

な、なんだ?この感触!

つめ切りに付帯した金属ヤスリとは、
比べようもないマイルドな使い心地です。
あ〜、釉薬が塗られていない素焼きのザラザラ感、その粗さが、
ちょっとした爪の手入れにこれほどピッタリだとは、
なんという天のさい配。

お湯割を飲むのも忘れ、シンと静まり返った茶の間で、
妙な感動を味わいながら、夢中でじょりじょりしてしまいました。

これが、そのソコです。



さ、あなたも、家にある陶器を引っくり返して見てみましょう。
チェックするのはソコですよ、ソコ。

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