自転車ツーリング「山へ」

西浜から帰って、翌々日。
どうも物足りない…僕の夏はこれで終わっていいのか…。
この不完全燃焼をなんとかしたい。

というわけで、かねてから夢見ていた、
テントやシュラフなどのキャンプ道具一式を自転車に積んでの
ソロツーリングを敢行することにした。

そのためにテントも、サイドバッグも左右セットで買ってある。
他のキャンプ道具はあるもので代用できるだろう。

一番の心配は荷物を積んでの山越え。
荷物を積んで走るのも、山を越えるのも初めてなのだ。
二重の無謀を支えるほどの若さも体力もない(笑)

…なんて不安がっているのに、準備はすっかり整ってしまったのだった。


■8月17日
【山形市〜<348>〜白鷹町〜<287>〜長井市〜[10]〜飯豊町〜<113>[4]〜白川荘】
走行距離:約75キロ


11:30 コンビニとうかい出発。
昼前なのでサンドイッチとコーヒーで軽く食事を取り、いよいよ単独行スタート。
装備はフロントバッグとサイドバッグ×2。サイドバッグの中には、テント・シュラフ、バーナー、ランタン、着替え、救急用品、工具類を詰め込んだ。(後で計ったら合わせて12キロあった)
こういった重装備で街中を走るのはちょっと気恥ずかしい。昼前の出発ということもあって、先へ先へと気持ちは焦る。

12:30 ごま蔵前通過(というか休憩)。
348を小滝峠に向かって登り始めてすぐに帰りたくなる。完全に脚力不足。ここまで来るのに息も絶え絶え、すでに出発から1時間も経過している。
お先真っ暗状態で、ごま蔵を眺めながらもう何度目かになる休憩。

13:30 境小滝トンネル前到着。
「おまえはもう死んでいる…」。ごま蔵からたったわずかの距離なのに、所要時間1時間!歩く方が早いかも…。
動悸を鎮めるためと、体をクールダウンさせるために、このトンネル内だけは自転車を引いて歩いた。そうしないときっと持たなかったと思う。


13:50 白鷹トンネル前到着。
「あの世からこんにちは…」(笑)このトンネルを過ぎれば、あとは下りだ!!!などとその時は考える余裕もなく、ここは走っていくぞ、という決意のみ…。

14:00 ついに峠越え。
いや〜〜〜っ、辛かった。感無量!
人生の下り坂はいやだが、自転車での下りはサイコーっす。最高時速60キロを記録(笑)

15:11 長井橋到着。
白鷹から長井までって、こんなに時間がかかるとは思わなかった。クルマだとあっという間なのに、意外と長く単調な道で精神的にくたびれる。
すでに陽は傾き始めている。どこかで優雅に遅い昼飯でもと思うが、ここは我慢。287から県道10に入る角のローソンで、おにぎりとカップヌードルを腹に詰め込み、先を急ぐことにした。

16:54 フラワー長井線。
スウィングガールズでもお馴染の、フラワー長井線を越える。飯豊町はもうすぐそこだ。
太陽はもうすっかり夕暮れの斜光。


17:48 白川ダム到着。
県道10から手ノ子で一度113に出て、またすぐに白川沿いの県道4に入る。きつい登り坂の他に、もう一つの強敵が待ち受けていた。
それは…

アブの襲撃!(>_<;)



 
こいつら、快調に飛ばしてる時は全く挨拶にも来ないくせに、登り坂がきつくなり、スピードが時速5キロぐらいに落ちて人が歩く程度になると、ブンブン取り巻いて噛んでくる。
登り坂でゼエゼエ必死こいてるため、ハンドルから手を離して追い払う余裕も余力もない時に限ってだ…クソッ!かなりの精神的なダメージだったな、これは。
全く、弱り目にたたり目、泣きっ面にアブである。


ところで、今日のディナー(笑)と明日の朝食の食材を、どこか最終のコンビニで仕入れるつもりだったのだが、その「最終」を逃してしまった。
白川沿いの県道10に入ってから、小さな酒屋兼食料品店に寄ってみたのだが、収穫なし。しかたなく魚肉ソーセージとウイスキーの水割り缶だけ購入。冷えたビールは白川荘にあるだろう。それさえあれば、何もいらない(笑)

18:25 ついに白川荘、到着。
白川荘の受付カウンターでキャンプの申し込み。「自転車で一人」と言うと、少しおまけしてくれた。受付と同時に缶ビールを一缶購入し、一気に流し込む。

キィーーーーーーッ、
クゥーーーーーーーーーーーーーーッ!!!




白鷹越え、白川沿いと、荷物を積んでの登り坂はきつかった。しかし、ペダルを漕ぎ続ければ少しずつでも前に進む。当たり前のことなのだけど、目的地にたどり着くと素直に感激する。
まだ小うるさいアブどもは僕の回りを飛び回っているけど、追い払う顔は笑っている。
どれ、ソロテントの初設営を済ませて、まずは温泉だ、そして、ビールの続きだ!


19:30 白川荘の温泉へ。
実は、加水、加温、ろ過・循環、塩素投入と悪の三拍子がそろった温泉なのだが、程度をわきまえた処理をしているせいか気にならない。70キロを走って悲鳴をあげそうな筋肉が、お湯の中でゆっくり解きほぐされていく。故障中のため水しか出ないシャワーも、体のアイシングにはちょうどいい具合だ。
ちょうど、どこかの大学生のグループといっしょになった。彼らも自転車でその辺を回っているようで、明日が最終日らしい。やたら騒がしいが、同じサイクリスト同士、ほほ笑ましくさえ感じられた。


お風呂上がりに缶ビールを3本買い、その場で1本を空ける。
小振りのソフトクーラーボックスを持参したので、残りの2本を入れテントへ。酔いもいい具合に回ってきた。
ドライフーズのキムチチャーハンをバーナーで調理し、ビールで流し込み、早々とシュラフの上に体を横たえる。テントのスクリーン越しに、月が見える。
テントの外に置いたガスランタンがいい雰囲気だったので、写真を撮ろうと思って…いるうちに…そのまま眠りに落ちていた。
 
 


■8月18日
【白川荘〜飯豊町〜長井市〜南陽市〜上山市〜山形市】
走行距離:約80キロ


6:45 起床。
昨夜の1時半頃に一度目が覚め、ランタンの灯を落としてから朝までぐっすりと眠ったせいか、気持ち良く目が覚めた。
さっそく外に出て、テント設営の状況を撮影。そのまま白川ダム湖畔の水際まで行って見ると、水面に靄がかかり幻想的だった。
夕べと全く同じメニューで(笑)朝食。こんな時はなんでもおいしい♪ご飯を肴に朝からビールでも…と思ったのだが、さすがにやめておいた。

8:50 白川荘出発。
昨日の昼前の出発と違い、今日は朝から走れるとあって、テントのボトムシートを乾かしながらのんびり撤収。空気が心地よい。
テント設営場所に隣接したグラウンドでは、手ノ子地区のゲートボール大会が華々しく開催されるらしく、対戦カードを決める抽選会に続き、オープンニングセレモニー(といっても地区の関係者の挨拶や選手宣誓ぐらいだが)が始まっていた。


今日は1日目とルートを変え、13回りで帰る計画だ。昨日はコンビニでの食事で終わってしまったので、どこかでラーメンを食べたい…。

9:50 道の駅飯豊到着。
白川荘から多少の登り坂はあるものの、快調に距離を伸ばし、1時間経たずに道の駅へ。甘味と酸味がほしく、オレンジシャーベットのジェラートを食べる。うまっ♪

11:40 南陽・赤湯到着。
道の駅飯豊から赤湯までの113は単調で、思った以上に距離があった。意外にばてる。道端で何度か休憩を取る。赤湯着が昼近い時間だったため、どこかでラーメンをと店を物色しながら走る。
途中、龍上海本店の前を通るが、すでに開店を待つ行列ができていた。相変わらず人気なんだねぇと冷ややかに眺めつつ素通り(笑)。まもなく13に出るちょっと手前、ふと左の路地を見ると「満月」という暖簾を発見。迷わずその店に入る。
いやいや、おいしい中華そばだった。スープも麺も申し分なし。(別エントリーで詳しく書きますね)


14:10 コンビニとうかい帰着!
復路の唯一の難所と思われた鳥上坂も、昨日の白鷹越えに比べたら、屁でもなく(辛かったけど)、あとはひたすらペダルを漕ぎ続ける。上山バイパスが出来たために旧道化し、閑散とした道が心地よかった。
コンビニとうかいで、簡単な報告をしながら、缶ビールをプシュー♪
 

んー、これで完全燃焼でっす。